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2021.11.21

ラジオホームドクター出演~胆石のはなし➀~

そろそろ岐阜市や岐南町の特定・すこやか健診の結果が返ってくる時期ですね。

会社の企業健診で胆石を指摘された方も結構いらっしゃるのではないでしょうか?

 

勤務医時代は主に胆のう・すい臓領域を専門に診療・学会活動を行っていたので、よく皆さんが耳にする病気ではありますが思い入れの強い分野でもあり、今回ブログという形ですがお話しさせて頂きたいと思います。少し前になりますが、岐阜県医師会から『ラジオホームドクター』(ラジオホームドクター | 岐阜県医師会 (med.or.jp))で胆石について話させて頂く機会を頂きましたので、その内容を中心に書いていきます。

 

まず、日本人の胆石保有率は食生活の変化や高齢化によって、年々増加傾向にあり現在成人の10人に1人が胆石をもっていると考えられています。以前は女性に多いとされていましたが肥満やアルコールの過剰摂取、脂質異常症や糖尿病といった生活習慣病の増加に伴い男性の胆石保有率が増えており男女比が逆転しています。そもそも胆石とは胆汁に含まれる成分が凝縮されて結晶化し固まったものをいいます。胆汁とは、食事で摂取した脂肪分やビタミンの消化・吸収を助ける黄褐色の消化液で、肝臓で1日に600~800ml程度作られ、十二指腸へ排出されます。この胆汁が流れる道を胆道と呼びますが、胆道に石ができる病気を総称して胆石症と呼びます。結石ができる胆道の部位によって、「胆のう結石」、「胆管結石」、「肝内結石」に分けられます。

 

ではなぜ胆石症になるのでしょうか?

胆石はその構成成分によって、「コレステロール結石」と「色素結石」に大別され、色素結石には「ビリルビンカルシウム結石」と「黒色結石」があります。日本人の胆石症患者さんではコレステロール結石がおよそ80%を占めています。コレステロール結石は、胆汁のコレステロール濃度が高いときに結晶化し、胆石になります。また色素結石のうち、ビリルビンカルシウム結石は胆汁の細菌感染が原因と考えられています。ただ胆石症になっても、実は2~3割の人はほとんど症状がみられません。しかし、半数以上の人には「胆道痛」といわれる特徴的な痛みが出ます。胆道痛とは右の肋骨の下やみぞおちの痛みで、食後に出ることが多いのが特徴です。他には皮膚が黄色くなる「黄疸」がみられることもあります。肝臓で作られた胆汁は胆道を通って十二指腸へ排出されますが、胆石によって胆道の流れがせき止められて、十二指腸へ排出されずに血液中に流れることで黄疸となります。黄疸になると皮膚がかゆくなったり、ビリルビン尿といった褐色の尿が出たりします。さらに胆石が原因で胆嚢や胆管に炎症を起こし、高熱が出ることもあります。胆嚢結石の場合は、胆石により胆のうから胆管への胆汁の流れがせき止められ、胆汁の成分が胆のうの粘膜を傷つけ、さらに細菌の感染が加わり急性胆のう炎になります。この状態がさらに進行すると感染した胆汁が血液中に逆流し、敗血症というきわめて重い病気を引き起こします。

 

少し長くなってきましたので続きは後日にさせて頂きます。 次回は胆石に対する診断について書いていきたいと思います。