胆のう腺筋腫症とは?
胆のう腺筋腫症とは、胆のうの壁が通常よりも分厚くなる病気です。
胆のう腺筋腫症は、病変の場所やその広がりから、大きく3つに分けられます。
限局型(底部型)
胆のうの底部を中心に、風船状の袋(憩室)が発生した状態です。
びまん型(全般型)
胆のう全体に憩室が発生している状態です。
分節型(輪状型)
胆のうの全体や頸部を中心に憩室が発生し、胆のうの内部が狭くなっている状態です。
胆のう腺筋腫症の症状
胆のう腺筋腫症は、無症状で経過し、特有の症状はないことが多いです。 他の臓器や症状を検査する際に行った腹部超音波検査によって偶発的に発見されることもあり、胆のう内や胆のう壁に結石(胆石)がみられる場合があります。胆石や胆のう炎を発症すると、右上腹部の違和感や痛み、吐き気、腹部の違和感(膨満感)などの症状を伴う場合があります。
胆のう腺筋腫症の原因
胆のう壁は、内側の浅い部位から深い部位にかけて、粘膜と筋組織によってできています。粘膜上皮が筋肉層にまで入り込むことがあり、それによって胆のう壁が分厚くなります。
胆のう腺筋腫症が疑われるときに行う検査
胆のう腺筋腫症を疑う場合は、腹部超音波検査によって診断を行います。胆のう腺筋腫症にみられる特徴的な病変によって確定診断がついた場合には、1年に1回ほどを目安に定期的な観察を行います。
当院で行う検査
超音波検査によって胆のう腺筋腫症を観察します。
当院のエコーは高精細・高画質画像で、苦痛や放射線による被爆もなく、腹部臓器を観察することができます。検査の手軽さのわりに病気の発見にとても有効で、また経過観察にも適しています。
特に胆のう・膵ぞう領域は院長が専門・得意とする検査の一つです。
胆のう腺筋腫症の治療法・手術
胆のう腺筋腫症のみであれば、治療や手術までに至ることはありません。経過観察によって、定期的に状態を確認していきます。
しかし、
- 良性、悪性の判断が困難である
- 胆石を併発している
- 胆のうがんを併発している
- 胆のう炎を併発している
- 膵胆管合流異常を合併している
など、上記のようなケースでは、手術による治療を検討することになります。
胆のう摘出を目的とした手術には、開腹手術や腹腔鏡下術があげられます。
近年では腹腔鏡下術が選択されることが多く、開腹手術に比べて患者さまの身体への負担が少ないため、早期の社会復帰が期待できるというメリットがあります。
また、胆のうがんの患者さまに対しては、化学療法(抗がん剤治療)が検討される場合もあります。
胆のうの病変だけでなく、患者さまの全身の状態や症状を考慮しながら、治療計画を立てていきます。